災害列島 命を守る情報サイト

私たちは誰もが災害の危険と隣り合わせで生活していると言っても過言ではありません。防災情報の基礎知識や「いざ!避難」という時にとるべき対応を分かりやすく解説しています。

避難 支援 知識 教訓

避難生活…ここに気をつけて!

災害で自宅に住むことができなくなったら…。次の住まいを確保するまで避難所で生活することになりますが、これまでの災害では避難生活で命を落としてしまうケースが相次いでいます。避難生活を乗り越えるため、「避難する人」「避難所を運営する人」の双方に気をつけてほしいポイントです。

災害関連ニュースや解説で放送された内容をまとめた記事です

目次

    トイレ

    不特定多数の人が使う避難所のトイレは環境が悪化しやすく、集団感染の原因となります。また、トイレの数が少なかったり、仮設トイレがあっても大きな段差があったりして、高齢者などがトイレの回数を減らそうと、水分や食事を控え、体調が悪化してしまうこともあります。

    ✅トイレに行くのを我慢しない(平均的な使用回数は1日5回)
    ✅使用後の手洗い・手指消毒を徹底する
    ✅掃除を定期的に行う(使い捨ての手袋を使用)
    ✅犯罪被害を防ぐため1人では行かない(特に女性や子ども)

    食事

    支援物資で届きやすい、おにぎりやパンといった炭水化物中心の食事に偏ってしまいがちです。
    なるべく栄養バランスのよい食事をとるよう心がけてください。また、食中毒にも十分な注意が必要です。

    ✅炊き出しや食事の前は、手洗い・手指消毒を徹底
    ✅食材はできるだけ加熱調理
    ✅食べ残しは取っておかずに、思い切って捨てる

    衛生管理

    集団生活を送る避難所では感染症が広がりやすくなるほか、ふだんとは違う慣れない生活が続くことから、さまざまなストレスが加わり、体力が低下しやすくなります。自分だけでなく周囲の人のためにも、衛生管理を意識した生活を心がけてください。

    ✅避難所内は土足で歩かない
    ✅定期的に換気を行う
    ✅感染症予防のためなるべくマスク着用
    ✅多くの人が触る部分はこまめに消毒
    ✅水分をこまめにとる(1日3リットルが目安)

    エコノミークラス症候群

    長時間同じ姿勢で足を動かさないと、血流が悪くなります。血管の中に血のかたまりができて肺に詰まって呼吸困難になり死亡するおそれがあります。定期的に体を動かすようにしてください。

    ✅足首の曲げ伸ばし
    ✅ふくらはぎや足裏のマッサージ
    ✅背伸びや上体ひねりなど全身ストレッチ

    ストレス対策

    慣れない避難所での集団生活でストレスがたまり、心身を害したり、対人関係のトラブルを起こしたりしてしまうケースもあります。ストレス対策を意識してください。

    ✅十分な睡眠をとる
    ✅お酒やたばこに依存しない
    ✅段ボールの仕切りなどを活用しプライバシーを確保する
    ✅子どもたちが遊べる場所をつくる

    段ボールベッド

    避難所への導入が広まっているのが「段ボールベッド」です。誰でも簡単に組み立てられるだけでなく、以下の点で健康管理にも有効だとされています。

    ✅床のほこりを吸い込みにくくなる
    ✅床の冷気が伝わりにくくなる
    ✅床を伝わる振動が伝わりにくくなる

    睡眠や休憩の環境を整えることは災害関連死を防ぐために最も重要なポイントです。避難所にある場合は積極的に活用してください。

    車中の寝泊まり

    平成28年の熊本地震では、その後も続く地震や避難所での生活を避けようと、多くの避難者が車の中で寝泊まりしていました。しかし、せまい車の中での生活は、エコノミークラス症候群や一酸化炭素中毒になるなどのリスクがあり、死亡してしまったケースもありました。
    車の中で寝泊まりする場合にはリスクをきちんと認識し、連続して長期間過ごすことは避けてください。

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    ✅車内で長時間、同じ姿勢でいることを避ける
    ✅横になる際はシートを倒して、寝返りできるスペースを確保
    ✅エンジンをかけっぱなしにしない
    ✅車上荒らしにあわないように外から見えるところに貴重品を置かない
    ✅施錠を忘れないようにする

    避難生活 無理に頑張ろうとしないで…

    災害で身近な人を亡くしてしまったり、住む家をなくしてしまったりしたうえに避難所で集団生活を送ることになると、想像以上のストレスを抱えることになります。

    「命は助かったんだからつらくても我慢しなきゃ…」
    「周りに迷惑をかけないようにしないと…」

    このように思ってしまいがちですが1人で無理に頑張ろうとしないでください。困ったことやつらいことがあったら、無理に感情を抑え込もうとせず、身近な人や専門家に相談するようにしてください。


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